耳の症状と病気

耳について

耳について耳は、聴覚に加えて傾きなどを感じる平衡感覚にも関わっています。外耳・中耳・内耳に分けられ、外耳は耳の入口から鼓膜まで、鼓膜の奥が中耳です。中耳は鼓室とも呼ばれていて、ここには鼻腔に通じる管状の耳管があります。内耳は耳の最も奥にあって、音の振動を信号に変換する蝸牛とバランスを感じる前庭や三半規管があります。
内耳は平衡感覚を司っているため、耳に原因があってめまいやふらつきを起こすことがあります。

耳に起こる主な症状

  • 耳が痛い
  • 耳がかゆい
  • 耳漏(耳だれ)
  • 耳から血が出る
  • 耳が腫れる
  • 耳鳴り
  • 耳閉感(耳が詰まった感じ)
  • 難聴(耳が聞こえない、聞こえにくい)
  • めまい
  • ふらつき

耳の病気について

耳垢(みみあか)

耳垢(みみあか)耳あかは、自然に外へ排出されるようになっていますので、こまめに耳掃除をする必要はありません。ただし、幼い子どもや高齢者、耳あかが湿っているタイプの方はたまりやすい傾向がありますので、定期的に耳掃除をする必要があります。奥に詰まった耳あかが原因で耳が詰まっているような耳閉感や聞こえにくさといった症状が起こることもあります。耳あか掃除もれっきとした医療行為です。耳掃除の加減がわからない、耳掃除で耳あかを奥に押し込んでしまったような気がするなど、耳あかが気になる場合はお気軽にいらしてください。2ヶ月に1回が受診の目安です。

外耳炎

耳の入口から鼓膜までの外耳道に炎症を起こしている状態です。主な症状は、耳の痛み・かゆみ・耳だれなどです。耳掃除の際に皮膚を傷付ける、耳にばい菌が入ってしまうなどによって生じます。治りかけても、かゆみが気になって耳掃除をして悪化させてしまうケースがよくあります。また、炎症の原因が真菌(カビ)の場合、炎症に対して行われる一般的な治療では治すことができません。症状に気付いたら、早めにいらしてください。

外耳道真菌症

外耳道に真菌(カビ)が繁殖してしまっている状態です。通常は真菌が繁殖することはありませんが、免疫が低下していたり、頻繁に耳掃除をしていると外耳道が傷付いて真菌感染を起こしやすくなります。
主な症状は、耳の強いかゆみ、耳の痛み、耳だれ、耳閉感、難聴などです。外耳道真菌症が疑われる場合には耳だれを検査します。治療は、外耳道をきれいにした上で、真菌を退治するための抗真菌薬軟膏や耳の洗浄などを行います。一般的な炎症に比べて治るまでに時間がかかりますが、しっかり治るまで治療しましょう。

外耳道異物

鼓膜までの間に異物が入ってしまった状態です。耳かきや綿棒の先端が多いのですが、子どもは思いがけないものを詰めてしまうこともあります。無理に取ろうとすると押し込む危険性がありますので、早めにいらしてください。また、昆虫が入り込んでしまった場合も痛みや激しい雑音、鼓膜の損傷などが起こりやすいため、すぐに受診してください。

中耳炎

鼓膜よりも奥の中耳(鼓室)に炎症を起こしています。中耳には鼻腔とつながる管状の耳管があって、急性中耳炎は風邪などの細菌が耳管を通じて鼻から侵入し、中耳に感染して生じます。子どもの耳管は大人に比べて太くて短く、まっすぐなので感染しやすく、風邪が治りかけたタイミングで中耳炎を起こすことがよくあります。主な症状は、痛み、耳閉感、難聴、耳鳴り、耳だれなどです。急性中耳炎以外にも、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などがあり、自覚症状に乏しい場合もあります。進行すると手術が必要になるものもあります。
また、中耳炎を悪化・長期化させてしまうと炎症が内耳に及んでしまうことがあります。内耳炎では適切な治療を行っても聴力を十分に回復できないこともありますので、中耳炎をしっかり治すことが重要です。

外傷性鼓膜穿孔

鼓膜に穴が開いてしまっている状態です。耳かきや綿棒によって直接穴が開いてしまう直達性穿孔、ダイビングや頭部への強い衝撃によって気圧が大きく変化して起こる介達性穿孔に分けられます。主な症状は、耳の痛み、耳出血、難聴、耳鳴り、耳閉感などで、外傷の程度や範囲によっては内耳にも影響が及んでめまいなどを起こすこともあります。
鼓膜は再生するため穴が小さければ自然な閉鎖も期待できます。穴が塞がるまでは耳の乾燥が不可欠ですから、入浴や水泳などの際には水が耳に入らないよう適切にケアする必要があります。感染の可能性がある場合には、抗生剤の内服や点耳薬などによる治療を行います。なお、自然な閉鎖が期待できない場合には、鼓膜穿孔閉鎖術や鼓膜形成術を行います。鼓膜穿孔閉鎖術は外来で可能ですが、鼓膜形成術は連携している高度医療機関をご紹介しています。

鼓膜穿孔治療薬「リティンパ」による治療

鼓膜に開いた穴に薬を染み込ませた鼓膜用ゼラチンスポンジを置き、乾燥や感染を防ぐために表面を組織接着剤で閉鎖することで、鼓膜の再生を促します。
体の別の場所から組織の移植をする必要がなく、患者さんへの負担が少ないことから、外来でも治療を行うことが可能です。
薬剤料が高額のため、窓口支払いは3割負担で約18,000円程度です。

内耳炎

内耳炎慢性的な中耳炎が背景にあって細菌感染を起こしたり、急性中耳炎が悪化した場合など、主に中耳炎の炎症が内耳にも及んで発症します。内耳は聴覚だけでなく平衡感覚も司っているため、バランス感覚に関する症状を起こすこともあります。主な症状は、難聴、耳閉感、耳鳴り、めまいなどです。
原因になっている中耳炎などの治療が不可欠です。内耳炎にはステロイドなどを使った治療を行いますが、内耳に起こった聴力障害は十分な回復が難しいこともあります。内耳炎にならないよう、中耳炎をしっかり治すようにしましょう。

難聴

聴覚が低下して聞こえにくくなっている状態です。耳鳴りをともなうこともよくあります。外耳、中耳、内耳のどこに障害を起こしているのかによって適した治療が異なります。外耳と中耳の障害で起こる伝音難聴、内耳の障害で起こる感音難聴に分けられます。

詳しくはこちら

伝音難聴

外耳炎・急性中耳炎・滲出性中耳炎・慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎など、外耳や中耳に原因があって生じる難聴です。

感音難聴

老人性難聴、突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、メニエール病 などがあります。突発性難聴は症状に気付いたらできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することで治せる可能性が高まります。時間経過によって回復が困難になりますので、急に聞こえにくくなったことに気付いたらすぐにいらしてください。

老人性難聴

加齢によって聴力も衰えていきます。会話していて聞き返すことが多くなった、テレビなどの音量が大きいと言われたなどがある場合、また健康診断などで聴力に問題があると指摘された場合には、早めにいらしてください。当院では患者様の状態に合わせて補聴器をきめ細かく調整していますので、お気軽にいらしてください。院長は補聴器適合判定医師であり、補聴器の調整(フィッティング)をおこなう補聴器適合検査もおこなうことができます。

耳鳴り

耳鳴り外耳、中耳、内耳、神経や脳といった聴覚系に問題が生じて耳鳴りを起こします。最も多いのは内耳の障害によるもので、難聴をともなうことが多くなっています。過労やストレスなどの影響を受けて生じることもあります。耳鳴りを消すのは難しいこともありますが、症状を和らげたり、耳鳴りと上手に付き合えるようにするTRT(音響療法)などの治療法もあります。

めまい

内耳には平衡感覚を司る機能があるため、その機能に問題が起こるとバランスが崩れてめまいやふらつきを感じます。目がグルグル回る激しいめまい、足元がふわふわするようなふらつきなど、症状はさまざまです。また、内耳以外が原因となってめまいを起こすこともあります。聴力検査、重心動揺計検査、赤外線CCDカメラを用いた眼振検査などを行うことで、症状を起こしている原因を絞り込むことができます。当院では内耳だけでなく脳や内科全体の問題を考慮しながら慎重に診断し、適切な治療につなげています。
院長はめまい平衡医学会認定のめまい相談医です。

当クリニックのめまい診療

当クリニックでは、患者様一人ひとりに合わせた治療をおこなっています。
院長はめまい平衡医学会認定のめまい相談医です。
当院では、漢方を使った治療も行っています。

当クリニックのめまい診療新東京病院耳鼻咽喉科で勤務していた時のものです。


TOPへ